ユーロとは?
ユーロとは1993年に誕生したEU(欧州連合)が発行している単一通貨です。
EUの加盟国のうちユーロを法定通貨として導入・利用できる国は、ドイツ、イタリア、フランスを中心とした19か国にのぼっています。
取引がスタートしたのが1999年、紙幣・硬貨の流通がはじまったのが2002年と歴史は浅いですが、2020年現在で米ドルに次ぐ世界2位の取引量をほこる通貨です。
取引量は多いですが新通貨で歴史が浅いことと、政治・経済がどのように絡んでどのような値動きをするかまだ不明瞭な点が多い通貨でもあります。
そのため、FX初心者には多少難易度が高いでしょう。
ユーロの重要な経済指標
ユーロはユーロ圏の国々の経済や政治状況によって相場が変動することが多々あります。
経済指標も国ごとに発表されるので、重要度が高いものは全部チェックする必要があるのかと言われればそうではありません。
経済指標の種類 | 発表元 | 経済指標名 | 発表時刻 |
金利 | ECB(欧州中央銀行) | ECB金利政策 | 午後9時45分(夏時間:午後8時45分) |
景気 | ドイツ | IFO景況感指数 | 午後5時(夏時間:午後5時) |
※全て日本時間表示
基本的に上記つの経済指標を抑えておけば十分です。
なぜ重要なのか1つずつ見ていきましょう。
ECB政策金利
ECB(欧州中央銀行)理事会が物価や通貨を安定供給するために、金融引き締め・金融緩和の決定を下します。
これがユーロ/円といったユーロ絡みの通貨ペアに大きな影響を与えるのがECB政策金利です。
理事会は総裁、専務理事4名、EU加盟国の中銀総裁19名の計25名のメンバで構成され、6週間に1回のペースで開催されます。
景気が過熱する場合は「金融引き締め」により利上げ、景気が冷え込む場合は「金融緩和」による利下げを行い、消費の活性化を行うのが特徴です。
金利が高い時は買いが優勢、金利が低い時は売りが優勢となり、相場に大きな影響を与えるので、必ずチェックするようにしましょう。
現状維持の予想から金利の変動が起きたというように、予想と結果に相違があった場合は、相場は大きく変動する可能性が高いので注意して下さい。
過去の値動き
下記は2012年7月5日のECB政策金利の数値・値動きです。
前回値 | 予想値 | 結果値 |
1.00% | 0.75%に利下げ | 0.75%に利下げ |
利下げが実施されたことで価格が一気に下落しました。
下記は2012年9月6日のECB政策金利の数値・値動きです。
前回値 | 予想値 | 結果値 |
0.75% | 0.50%に利下げ | 0.75%に据え置き |
金利が0.50%に下がる予想だったのに対し、0.75%に据え置きされたことで価格が大きく上昇しました。
このことからECB政策金利の結果は相場に大きな影響を与えることがお分かり頂けると思います。
ドイツ・IFO景況感指数
ドイツにあるIFO経済研究所がドイツの対象企業にアンケート調査を行い、アンケート結果を元にまとめている景況感指数のことをいいます
製造業・卸売業・小売業などの業種が対象とされ、企業の数は9,000社以上にもなり、調査した月の下旬頃に発表されるのが特徴です。
ドイツの景況感指数は、他にZEW景況感指数というものがあります。
ZEW景況感指数はIFO景況感指数より1週間ほど早く公表され速報性は高いですが、調査対象がアナリスト・金融投資家で約350人と調査対象は多くありません。
そのためFXを始めたうちは、調査対象が多く正確性が高いIFO景況感指数を気に掛けるだけで十分です。
過去の値動き
下記は2020年10月26日のIFO景況感指数の数値・値動きです。
前回値 | 予想値 | 結果値 |
93.4 | 93.0 | 92.7 |
予想値と結果値に大きな乖離がなかったため、大きな相場変動はありませんでした。
過去の値動きを確認してみましたが、発表時の大きな値動きは頻繁に起きていないです。
ただし、重要な経済指標であることは間違いないのでトレードをする際は注意しましょう。
ドイツの経済指標はなぜ重要なのか?
なぜ数あるEU加盟国がある中で、ドイツの経済指標のみ抑えておけば問題ないのでしょうか?
まずは下記の表をご覧下さい。
ドイツ | 28.9% |
フランス | 20.3% |
イタリア | 15.0% |
スペイン | 10.4% |
その他 | 25.3% |
上記の数値は2019年のユーロ圏の国別GDPの割合を示したグラフです。
ユーロGDPの約3割をドイツが占めていることから、ドイツの経済指標は他のEU諸国の経済指標よりもユーロ相場に大きな影響を与えると言われています。
そのような理由からドイツの経済指標は重要であり、世界中の多くのトレーダーがその結果に注目しているのです。
まとめ-ユーロで重要な経済指標を知り効果的なトレードを!
ユーロに関する経済指標の種類は決して少なくありません。
もちろん、EU加盟国でありユーロに関係する経済指標を全てチェックするに越したことはありませんが全てをチェックするとかえって相場の分析がしにくくなります。
そのため今記事で紹介した「ECB政策金利」と「ドイツIFO景況感指数」は必ずチェックし相場がどう変化するか理解しておきましょう。
これをきっちり抑えておくことで、トレンドに沿った効果的なトレードを行うことが可能です。