FXをやる上で、絶対に理解しておきたい基礎知識の円高と円安など、為替相場が動く仕組みについて解説していきます。
FX初心者が知っておくべき知識であり、勝ちトレーダーになるためにはその仕組みを理解しておく重要なポイントです。
今回解説する内容を理解しておくことで、ゆくゆくは経済に対する興味関心、ファンダメンタルズ的な視点からも相場を見れるようになれます。
為替の「円高」と「円安」とは?
経済ニュースや新聞などで「円高」や「円安」というキーワードを聞く機会があるでしょう。
- 円高:外貨に対して円の価値が上がっている状態
- 円安:外貨に対して円の価値が下がっている状態
円高の状態だと、相対的に外国通貨の価値が下がっている状態であり、それと同時に円安になっていると外国通貨の価値が上がっていることを意味します。
世界で流通しているハードカレンシー(米ドル、ユーロ、円、英ポンド、スイスフラン、カナダドル、スウェーデンクローナ)のうち、日本人になじみ深い米ドルと円(ドル円)を例に解説します。
ドル円の平均的な相場が110円だった場合
1ドル105円になると・・・より少ない日本円でドルを買えるのでドル安・円高です。
1ドル115円になると・・・ドル高・円安です。
ここで注意なのは、表示されている価格が下がると円安のように思いやすいですが、価値が低下したのはドルです。(ドル安→円高)
為替の「円とドル」の関係を分かりやすく「円とバナナ」
あなたが昨日、八百屋でバナナを200円で購入しました。
そして今日、同じ八百屋でバナナの値段を見ると100円に下がっていました。
「損した!」と思いますよね?
バナナを買う時はなるべく安い方が良い。
これが「円高バナナ安」。
そして明日、同じバナナの値段が300円に高くなっていました。
「昨日買っておいてよかった。ふ〜」と思いますよね?
これが「円安バナナ高」です。
為替の通貨ペアの見方と読み方
為替(FX)では以下の画像のように通貨ペアが表示されます。
これらの通貨ペアの見方は、「通貨A/通貨B」であれば通貨Aの1単位を取引するのに、どれだけの通貨Bが必要かを示しています。
「ユーロ/ドル」であれば1ユーロが何ドルで取引できるかを表します。
「ドル/円」であれば1ドルが何円で取引できるかを表しています。
そのため、ドル円の価格が下がっているのを見ると一見、円安と判断されてしまいやすいですがドルの価値が下がり、円の価値が上がっているということになります。
1ドルが110円より115円の方が、1ドルに対してより多くの円が必要なので円の価値が下がります(円安)
1ドル110円より105円の方が、1ドルに対してより少ない円で買えるので円の価値が高くなっています(円高)
FX初心者で取引に不慣れだと、為替レートが上がっているのに円安、下がっているのに円高と不思議に感じる人が多いですが、上記の内容を理解しておけば大丈夫です。
為替相場の仕組み
為替は複雑な要因が掛け合わさって相場を形成しており、相場が動く要因を完璧に読むことは難しいですが、その動きを予想することはできます。
経済的なことだけでなく政治的な情報が作用しますが、これを知ることで分析に磨きをかけられるのです。
為替が変動する6つの要因
為替が変動する仕組みはとても複雑な要因が掛け合わさっているので全てを完璧に把握することは難しいものです。
しかし以下の6つの情報が為替相場を大きく動かす主な要因であり、勝ちトレーダーになるために必須の知識です。
- 景気動向
- 金利
- 国際情勢
- 要人発言
- 政府による市場介入
- 投機的要因
これらの情報を知ることで、これまでの相場の変動の理由を調べたり、今後の動きを予想できるようになります。
①景気動向
景気がよければ企業の売り上げUPなどで株価の上昇、金利の上昇が期待でき、株式や債券に投資する人が増えることで海外から資金が流入します。
その結果、その国の通貨に対する需要が増えることで通貨の価値が上がることになります。
②金利
同じお金を預けるにしても、金利が1%と5%つくところでは、誰もが5%つくほうに預ける方を選ぶのではないでしょうか。
金利が低いところより、高い方へお金が動くことで為替に影響を与えます。
資産家は、日本ではなく海外の銀行へ資産を預けることがあるのは、この金利が関係しているのです。
また、企業が銀行に融資してもらう際の金利も重要なポイントになります。
③国際情勢
戦争やテロなども為替変動の大きな要因(地政学的リスク)の一つです。
国内でテロなどの有事が起きれば、その国の信用や安全性などが下がり通貨が売られることが増えます。
政情の不安定な国の通貨よりも政情の安定している国の通貨の方が安心できることから価値が強くなります。
④要人発言
各国の首脳や中央銀行の関係者など「要人」と呼ばれる人の発言によって為替変動が起きやすくなります。
特にその発言に強い影響力を持つのが、アメリカの大統領やFRB(連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)などです。
近年では、米中のトランプ大統領と習近平大統領の米中摩擦が騒がせており、その発言は常に注目されています。
⑤政府による市場介入
為替の急激な変動や価値の一方的な変動による経済への悪影響をさけるため、政府が中央銀行を使って市場取引に参加することがあります。
日本の場合は、
- 単独介入(日銀が独自の判断で行う)
- 委託介入(他国の中央銀行に委託して行う)
- 協調介入(他国の中央銀行と示し合わせたり、または協議して行う)
の3つがあります。
⑥投機的要因
株などの長期的な投資を行う市場参加とは違い、短期間の差益を狙う投機的な取引を行う「投機筋」という参加者の取引により変動することがあります。
この参加者は主に大手金融機関やファンドを含む大口機関投資家を指し、一度の短期取引に巨額の資金を投入するので、相場に大きな影響を与える要因となります。
これらの6つは為替変動の要因として押さえておきたいポイントです。
また、為替ではメジャーな通貨の方がよい言われる理由も上記と同様で、不安定な通貨は急激な変動も度々起こることから堅実な投資には向いていないことがわかります。
為替変動の要因を理解しておけば、普段のニュースや経済への関心が高まり広い視野で情報を得られ、それを生かせるようになるでしょう。
世界情勢を注視することで、今の大きなトレンドに乗ることができ、大きな損失を避けやすくなるというメリットもあります。
「人は相場に対して無力」と言われる理由
FX初心者が理解しておくべき大切な知識として「人は相場に対して無力」だということです。
少し古い情報ですが、ドル/円を1円動かすのに1兆円という巨額の資金が必要だと言われています。
いくら個人投資家が頑張っても、相場に対しては無力なのです。
相場を動かす大口機関投資家とは
相場を動かすのは上記で説明した通りさまざまな要因がありますが、その大部分は大口投資家の動きに影響されています。
代表的なのが、世界最大級の投資機関である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や世界的な投資方法でもあるヘッジファンドなどの大口機関投資家です。
どちらも巨額の資産があり、前述の6つの要因などを元にその資産を運用するので、相場に影響を与えます。
この大口機関投資家の参加により相場変動が起こり、その流れに個人投資家が乗ることで大きな利益を作るチャンスにもなります。
そのため、FXをやる上で大口機関投資家であるGPIFとヘッジファンドの情報は、チャート分析の判断材料としておすすめです。
まとめ 為替を動かす要因を知って市場動向の流れを読む
為替相場が動く鍵は「情報」です。
複雑に動く市場は6つ要因を含む世界情勢に強く影響され、これらの情報をいかに有効に生かすかが、初心者を脱して勝ちトレーダーになるためのコツと言えます。
円高や円安といった為替の値動きだけでなく、それが動く仕組みを知ることで安定した取引を続けることができるでしょう。
小難しいと考える人が多い経済ですが、トレーダーはその経済を動かす一因にもなれるのです。
この機会に情報を利用し、トレードにおいてよい変化があれば幸いです。