FXで利益を上げる手段として、スワップポイントで稼ぐ方法があります。
頻繁にトレードをしながら売買差益で利益を上げていく方法とは違い、忙しい方やリスクを最低限に抑えたいという方におすすめです。
本記事では、「スワップポイントとは何か」を、FX初心者でも理解できるようにわかりやすく解説しています。
スワップポイントとは
金利の高い国の通貨を買い、2か国の金利差によって収益を得ることができる仕組みのことをスワップポイントといいます。
通貨ペアの金利差の調整で発生することから「金利差調整分」とも言われており、ポジションを保有している限りは毎日収益を得ることが可能です。
現在、金利の高い通貨は下記となっています。
ただ政策金利は変動するので、該当国の通貨ペアの政策金利は必ずチェックするようにしましょう。
通貨国 | 取り扱い通貨 | 金利 |
トルコ | リラ(TRY) | 15.00% |
メキシコ | ペソ(MXN) | 4.25% |
中国 | 人民元(CNY) | 3.85% |
ただスワップポイントをもらうには、ポジションを保有すること以外にもいくつか条件があり、それが上記3つとなります。
- 利益が上がる通貨ペアを選ぶ
- ポジションを保有する
- ポジションを翌営業日に持ち越す
FX業者によって多少違いがあるので、詳しくは自分の業者のホームページなどで確かめてください。
またスワップポイントは翌営業日に持ち越して、長期的に保有しなければならないためスイングトレードでトレードを行う必要があります。
そのため、スワップポイントを得るためにはスキャルピングのような超短期トレードやデイトレードなどのトレードスタイルではスワップポイントを得れないので注意しましょう。
スワップポイントの計算方法
スワップポイントの計算は下記のように行います。
・為替レート×保有数量×金利差=1年間のスワップポイント
・1年間のスワップポイント/365=1日あたりのスワップポイント
引用:FXの教科書
例えば米ドル/円のレートが100円、1万通貨、金利差は0.5%の状況でスワップポイントを得るとしましょう。
- 100円×1万通貨×0.5%=50万円
- 50万円/360=1,369円
その場合、1日あたり1,369円、年間で50万円のスワップポイントを得ることができます。
反対に金利差がマイナスの場合は-1,369円、年間で-50万円ととなるということです。
スワップポイント狙いの長期運用シミュレーション
金利の高いトルコリラでシミュレーションしてみます。
年間100万円のスワップ収入を得るには、どのくらいの資金が必要でしょうか?
1万通貨あたりのスワップ収入を100円/日だとします。
27.4万通貨が必要だと分かりました。
27.4万通貨を日本円に換算すると、
なぜならロスカットされてしまうと売買差益はもちろん、それまでに溜まっていたスワップポイントも帳消しになってしまうからです。
理論上では、トルコリラで年間100万の利益を上げるための軍資金は約20万円あれば可能ですが、スワップ狙いでのレバレッジ25倍はかなり危険です。
スワップ狙いの長期運用の場合は、レバレッジをできるだけ下げてリスクを抑えて下さい。
いろいろな意見がありますが、レバレッジ3倍くらいが比較的安全と言われています。
仮にレバレッジ3倍でトルコリラを運用する場合は、約164万円の資金があれば年間100万のスワップ収入を得ることが可能です。
資金1000万をレバレッジ3倍で運用したら?
資金が1000万で、レバレッジを3倍にして運用したとします。
トルコリラ円が18円の場合、
1万通貨あたり100円/日だとすると、
10,000万円の資金をレバレッジ3倍で1年間運用すると、計算上約605万円の利益を出すことが可能です。
リスクはありますが、資金が大きくなればなるほどリターンも大きくできます。
ただ後述するデメリットを踏まえると、市場の動向を見定めて気をつけながら運用しなけれがなりません。
スワップポイントの注意点
スワップポイントの収入を狙っての長期運用は、気をつけなければならないことがあります。
- 売りによるスワップポイントのマイナス
- 売買差益による損失
- 世界的な不況時の大暴落
- 各国の政策金利の変更
- スワップポイントが逆転
代表的なものが上記の5つです。
スワップポイントのマイナス
この画像のとおり、どの通貨ペアの売りポジション、買いポジションかによって、スワップポイントの数字だけでなくプラスマイナスも変わります。
トレードの売買によってはスワップポイントを支払うことになってしまい、損失が発生するので注意して下さい。
円は2020年11月時点で日本の政策金利は-0.10%です。
そのため、円が絡む通貨ペアの場合は基本的に買いポジションを保有すれば利益を得ることができます。
ただ買いと売りのどちらでもマイナスポイントになってしまう場合があるので、ポジションを保有する前に必ず確認をしましょう。
売買差益による損失
ポジションを保有するということは、レートの動きによる売買差益もあります。
スワップポイントがもらえたとしても、売買差益による損失が大きいと意味がありません。
ポジションを保有するタイミングはしっかりと見極めることが必要です。
高金利通貨は不況時に、真っ先に大暴落しやすい
スワップ狙いの運用となると、高金利通貨が必須になります。
しかし、高金利通貨というのはよい面ばかりではありません。
世界的な不況には、真っ先に大暴落していきやすい性質を持っています。
とくに新型コロナウイルスのような突然くる不況時に、大暴落してしまうと対応に遅れて大損失になってしまう可能性があります。
そのため、安全に安全を重ねてレバレッジを低くして証拠金維持率を高く保っておくことがコツになります。
各国の政策
政策金利というのは、いつまでも同じという訳ではありません。
事実、豪ドルは2008年に7.25%と高い政策金利でした。
しかし2020年2月時点では0.75%と大幅に下落しました。
スワップ収入の心臓とも言える政策金利は、常に同じではないことを理解しておかないと、計画的な運用ができなくなります。
最悪の場合、政策金利が逆転してしまいスワップを受け取る立場から支払う立場になってしまう可能性もあります。
各国の政策金利に関する情報は、常に最新の情報を仕入れましょう。
スワップポイントが逆転
政策金利の変更による逆転のほかにも、FX業者独自にスワップポイントを逆転させることがあります。
スワップポイントは、FX業者によって異なり、各業者で独自にスワップポイントの付与率を決めています。
為替レートが、急変動して異常値をつけるような相場では、FX業者が投資家とカバー先の注文をさばき切れなくなることがあります。
そうなると、FX業者はリスクを背負ってしまうのでリスク軽減のためにスワップポイントの付与率を減少させます。
また、最悪の場合はスワップポイントの付与率が逆転して支払う立場になってしまう場合もあります。
まとめ スワップ狙いなら低レバレッジで長期運用
今回は、「スワップポイントは何か」について解説しました。
FX初心者の方は、売買差益での収益が真っ先に思い浮かべますが、長期での運用となればスワップポイントの収益は決して侮れません。
売買差益で収益を上げるキャピタルゲインに比べて、スワップ狙いの長期運用はまったりできるというメリットがあります。
しかし、上記で挙げたような数多くのデメリットがあることを理解しておきましょう。
ロスカットされて、資金を溶かしてしまうという可能性もあります。
スワップ狙いで長期運用をする際は、レバレッジを低くして安全な状態でまったりトレードするのが最適です。
資金が多ければ多いほど有利にできるので、これからスワップ狙いの長期運用を検討している方は、ぜひシミュレーションしてみてください。
本記事が参考になれば幸いです。